9日、福岡市立こども病院・感染症センター開設30周年を記念した講演会があり、約200人が参加した。宮城県立こども病院の林富院長ら4人の専門家が人工島への移転が計画されている新こども病院への期待や要望を語った。福岡地区小児医会の進藤静生会長の講演内容を紹介する。
「福岡市立こども病院にのぞむ」しんどう小児科医院院長 福岡地区小児科医会
進藤 静生 会長
福岡市立こども病院10周年の記念講演会の折に当時丹々会(福岡地区小児科医会)副会長だった井上賢太郎先生が「こども病院にのぞむ」という題で講演をされました。今回は丹々会「新こども病院構想委員会」で新病院に対する要望書を作成し4月22日に吉田宏福岡市長に上申しましたのでその内容を紹介します。
その要旨は次の通りです。
- 採算性が低い小児医療に対する地方独立行政法人化後の継続的な財政支援
- 他の小児病院と比較して見劣りのしない十分なスペースを有する病室等の設計
- 現病院で行われている高度医療継続のため、後継者育成に配慮した人員配置
- 新病院の構想、設計などへの早い段階からの現場スタッフの参加
- 小児循環器医療、周産期医療等の人的および設備の充実・整備
- 優秀な医師やコメディカルの全国各地からの参集を目指した宿舎や処遇などの改善。
- 病児の搬送およびその家族の移動のための交通アクセスの改善
「福岡地区小児科医学会新こども病院構想委員会」(高崎好生丹々会長、進藤委員長、福岡・筑紫・粕屋・糸島地区の代表ら計17名で構成)の第1~6回委員会の経緯、産婦人科医サイドからの意見も踏まえて上申したものです。
新こども病院の最優先事項はQOLです。まず患者さん、そして医師や看護師だけでなく、職員全員が座標を共有できる体制づくりが不可欠です。
また、全国から優秀な医師やコメディカルが「新こども病院で働きたい」と集まるように待遇面での配慮を切に希望します。第3次医療圏の充実、周辺医療機関への増床の働きかけなども必要になってくるでしょう。