ノーベル医学生理学賞にロバート・エドワーズ英ケンブリッジ大名誉教授

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ロバート・エドワーズ博士近影=Bourn Halniteで開かれたルイーズ・ブラウンさんの誕生パーティーにて(2008年7月12日)Photo: Kindly provided by Bourn Hall Clinic.

ロバート・エドワーズ博士近影=Bourn Halniteで開かれたルイーズ・ブラウンさんの誕生パーティーにて(2008年7月12日)Photo: Kindly provided by Bourn Hall Clinic.

2010年ノーベル医学生理学賞をロバート・エドワーズ英ケンブリッジ大名誉教授(85)=写真=が受賞した。受賞理由は「体外受精技術の開発」で英産婦人科外科医パトリック・ステプトー氏(故人)とともに技術を完成させ1978年、世界初の体外受精児(試験管ベビー)ルイーズ・ブラウンさんを誕生させた。

現在、体外受精の技術で日本は世界のトップレベルにあり国内で年間2万人が生まれ、累計約20万人が誕生。世界では400万人とされる。

1978年世界初の体外受精児誕生

世界初の体外受精児ルイーズ・ブラウンさんと母レスリーさん(1978年)Photo: Brian Bould / Daily Mail / Rex Features / IBL Bildbyrå

世界初の体外受精児ルイーズ・ブラウンさんと母レスリーさん(1978年)Photo: Brian Bould / Daily Mail / Rex Features / IBL Bildbyrå

1978年7月25日、イングランド北部のアールダム総合病院で世界初の体外受精児ルイーズ・ブラウンさんが誕生した。エドワーズ氏が体外受精(IVF)を思いついたのは1950年代。他の研究者がウサギの卵子を試験管内で精子と受精させる研究を知り、人間の不妊治療にも応用できるのではと考えた。

その後ヒトの受精に関する研究を続け、ケンブリッジ大に所属していた1968年、初めて試験管内でヒト卵子の受精に成功した。産婦人科外科医、パトリック・ステプトー氏との共同研究を開始。エドワーズ氏は体外受精の技術や初期胚の培養法を研究、ステプトー氏が開発した腹腔鏡検査法で卵巣から成熟した卵子を安全に採取することに成功した。

研究が進むにつれ世間では体外受精への議論が噴出。生命倫理、宗教の観点からの反対意見が強く、英政府の医学研究評議会は体外受精プロジェクトへの資金提供を中止した。しかし、民間からの寄付が集まり、エドワーズ氏らは研究を続けることが出来た。

そして9年間、不妊治療を続けていた両側卵管閉塞のブラウン夫人の卵胞から成熟卵子を採取、体外受精後、8細胞期に発生した受精卵を経膣的に子宮内に戻して妊娠させた。こうして世界初の「試験管ベビー」ルイーズちゃんが無事に生まれた。

ルイーズさんは2004年に結婚、自然妊娠し2006年12月に男児を出産した。体外受精で生まれた子供は、将来、子供を産めないのではとの懸念も払拭された。体外受精が成功して32年目の受賞はその安全性が確認された結果だろう。

技術普及で世界に400万人の赤ちゃん

現在、不妊に悩むカップルは10組につき1組。つまり10~15%の夫婦が子供を産む努力を続けている事になる。不妊症とは「妊娠を望み2年間以上、夫婦生活を営んでも妊娠に恵まれない」状態を指す。エドワーズ氏らの研究が世界中に広がり、不妊治療は飛躍的に進歩、これまで400万人の体外受精児が誕生したとされる。

エドワーズ氏は1925年9月27日、リーズ生まれ。マンチェスター・セントラル・ハイスクールを卒業後、イギリス陸軍に入隊、ヨルダン、エジプト、イラクで従軍。その後、ウェールズ大学の構成大学であるバンガー大生物学部動物学科で生物学を専攻、卒業後はエジンバラ大生物学部付属動物遺伝学研究所に属し、1955年にph.D.取得、1963年ケンブリッジ大に移った。

日本では1983年、東北大医学部付属病院の鈴木雅州産婦人科教授(当時)を中心とするチームが体外受精を成功させた。

現在、日本の不妊治療は世界のトップクラスにあり、年間約19万回の体外受精を受けているとされる。

エドワーズ博士と交流

蔵本ウイメンズクリニック 蔵本 武志 院長

蔵本ウイメンズクリニック 院長

国際学会や現地視察でエドワーズ氏と交流があるのは医療法人蔵本ウイメンズクリニック(福岡市)の蔵本武志院長=写真(左)。「ノーベル賞受賞は大変嬉しいことです。人間的にも素晴しいエドワーズ先生のところには世界中から医師らが集まり、より安全な治療の精神などを学んでいます」

蔵本院長はオーストラリアでIVF(体外受精)を中心とした不妊治療を研修、日本生殖医学会生殖医療専門医も務める。同クリニックでは年間1200件の体外受精や顕微授精が行われている。開院して15年間での生殖医療による妊娠数7978件、うち体外受精や顕微授精など高度生殖医療(ART)による妊娠の合計は5049人でこれまで4919人(うちARTは3561人)が出生している(10月6日現在)

女性の卵子は生まれた時には200万個あるが、成長とともに急減し初経時には30万個とされる。さらに37歳以上になると急激に減り、同時に卵質の劣化も始まる。20代など若い方が妊娠の可能性は高くなる。不妊治療患者のうち約3割が体外受精を受けているのが現状。

1割の夫婦が不妊に悩む日本の技術はトップレベル

生殖医療技術は大きく2つに分かれる。男性不妊症は精子の数が少ない場合や精子の運動率が低いケースで不妊原因の30~40%を占める。ここで実施されるのが「人工授精」で夫の精子を妻の子宮に注入する「夫婦間人工授精(AIH)」と、第三者から提供の精子を使う非配偶者間人工授精(AID)」がある。

AIHでは倫理的問題もほとんどなく、取り出した精子を洗浄、濃縮などの操作を経て運動性の良好な精子を選別する事が出来る。AIDは夫に精巣内で全く精子をつくれない絶対的な不妊原因がある場合のみで提供者は夫と同じ血液型で、遺伝性欠陥や性病、エイズなどの検査をクリアし安全に妊娠させる能力のある精液が選ばれる。

人工授精を繰り返しても妊娠しない場合や女性の両側卵管が閉塞している場合などは「体外受精(IVF)」が適用される。IVFは精子と卵子を採取し体外で受精させた受精卵(胚)を子宮に戻す方法。受精し分裂した受精卵(胚)を子宮内に移植するため体外受精・胚移植と呼ばれる。

顕微鏡下で授精させる顕微授精も体外受精の一部。極細のガラス管に精子1個を吸引し卵の細胞質内に注入する卵細胞質内精子注入法(ICSI)が主流となっている。


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