京都橘大学(京都市山科区)「父母の会地区懇談会」の一環として、同大学看護学部の高田早苗主任教授による講演会が、8月29日、ホテルクリオコート博多で開催された。一般参加を含む約50名が熱心に耳を傾けた。
高田教授は「セルフケアの薦め―主役の患者になるために―」と題して講演。主役の患者とは「賢い」患者になることであり、自分の生命と健康を守るために普段の生活から自発的なセルフケア(自己ケア)を心がけてほしいと訴えた。
「子どもの頃から、しつけや教育を通して適切な食事や排泄の習慣、運動と休息のバランスのとり方といったセルフケアの仕方を身につけさせることが大切」だとした上で、常に自分の心と身体に耳を傾け、変調を感じたら早めに受診することを勧めた。
続いて、病気にかかった時のセルフケアのポイントを解説した。まず、信頼できる医師や病院を選ぶこと。ガイド本も出ているが病院のホームページ等で公開されている病院の「理念」や「患者の権利・義務」を参考にすると良い。
初診の段階では、受診目的を的確に説明し、気がかりなことや希望があれば伝えること。さらに、既往症や薬剤アレルギーは治療を進める上で、重大な意味を持つことがあるので聞かれなくても必ず伝えてほしいと強調した。上手く伝える自信がない人は、メモを用意しておくのも良い方法だという。
治療や検査の説明を受ける際(IC)も、積極的に聞き、質問してほしいという。医師や看護師は「この患者さんは、真剣に考えているな」という認識を持ち、患者サイドはリスクや副作用を正確に理解することで、これからなすべきことを確認することができる。そのためにも病気や治療の下調べをしておくことが必要。予備知識があれば、理解も容易になる。
最後に「医師は決して"わがままな患者"だとは思いません。恐れずにわからないことは『わからない』と言いましょう」と呼びかけた。